「源氏物語」と藍染め

今回は毎月お届けしている「世界の藍染め」を一旦お休みし、現在放映中のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公、紫式部が書き上げた「源氏物語」と藍染めとのエピソードを紹介したいと思います。

日本の藍染めの歴史は非常に古く、奈良時代以前から始まったとされています。正倉院文書に「藍園」や「藍陸田」の記載が残っています。

源氏物語の書かれた平安時代には、藍染めの技法が高度に発達し、当時の貴族たちの間で非常に人気がありました。

源氏物語の中で、山藍(やまあい)という植物が登場します。山藍は古代から染色に利用されてきた植物で、藍染めの材料として使われていました。山藍で染めた衣装は、特に高貴な人物や特別な場面で用いられることが多く、源氏物語の「若菜下」の巻には、舞人たちの装束が山藍の葉で摺った竹の節の模様で染められている描写があります。

藍染めは『源氏物語』の中で、単なる装飾ではなく、物語の深みを増す重要な役割を果たしているのです。