世界の藍(ヨーロッパ・フランス編)

先日、フランスの大学で学ばれている学生さんがインターンシップに来られました。

ベルギーの藍染めは、日本と同じ小上粉(こじょうこ)を使っておられるとの興味深いお話も聞かせていただきました。

今回より「世界の藍 ヨーロッパ編」が始まります。

各地に伝統ある藍染めがありますが、まずはフランスの藍染めからご紹介します。

フランスの藍染めの歴史は中世にさかのぼります。フランス南西部に位置するトゥールーズ地方でワード(Isatis tinctoria)という植物を栽培し、藍染めの中心地として栄えました。この地域の青色染料は「パステルブルー」とも呼ばれ、高品質で知られました。ワードから得られる青色はインディゴよりも若干淡いですが、持続性が高く、色褪せしにくいとされています。

17世紀に入り、より高品質なインディゴがアジアから輸入されるようになると、ワードの需要は急激に減少しました。これにより、トゥールーズの藍染め産業も衰退しましたが、今日では伝統的な藍染め技術を守りつつ、現代的なデザインやファッションに応用されています。持続可能な染色技術として注目され、フランスの藍染めはその豊かな歴史と美しい青色で多くの人々を魅了し続けています。